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| 分解
| 合成 |
| 変化する炭素鎖数
| C2つ
| C2つ |
| 反応群の局在
| ミトコンドリア
| 細胞質 |
| 酵素群の特徴
| 個別
| 大きな複合体 |
| 用いられる補酵素
| FAD・NAD
| NADPH2 |
| 脂肪酸の担体
| CoA
| ACP |
| 伸長/短縮の起きる方向
| R-CH2CO-CoAのRからC2がとれる
| RCO-ACPのCOとACPとの間にC2が入る |
・脂質の構造と生理的役割
生体内で働く脂質の主要なものにはリン脂質(phospholipid)、糖脂質(glycolipid)、コレステロール(cholesterol)が挙げられる。このうち、生体膜の主な構成成分として働くのがリン脂質である。
リン脂質は3個の炭素原子を含むアルコールであるグリセロール(グリセリン)、またはもっと複雑なアルコールであるスフィンゴシンと脂肪酸でできている。グリセロールからなるリン脂質をホスホグリセリドといい、下図左のように2つの水酸基が脂肪酸と、もう1つの水酸基がリン酸化されたアルコールと結合している。そしてこれが疎水性の脂肪酸どうし近づくことで下図右のような脂質二重膜を形成する。ミセルを形成せず二重膜になるのは、ミセルのような球状になるには分子が大きすぎるからである。
糖脂質は主にスフィンゴシンからなり、リン酸基の変わりに1個から数個の糖が結合している。これも膜の成分としてメジャーである。スフィンゴ脂質とよばれる。
コレステロールは真核細胞でのみよく見られる。シグナル分子の前駆体としてメジャー。
・流動モザイクモデル
下の図のように、リン脂質の海をレセプターやチャネルなどの各種タンパクが漂っているという、細胞膜のモデル。これだと飲作用などの細胞膜の各種の性質の説明がつく。
この膜中の脂肪酸のアシル基は整然と並んで柔軟性の乏しい状態になることもあれば、比較的乱れた流動的な状態になることもある。整然とした状態ではC=C結合は全てトランス型であるが、乱れた状態では立体的に歪んだゴーシュ型になっている。
この二つの型の転移は融解温度を超えるか否かできまり、温度が高いとゴーシュ型になる。この転移温度は脂肪酸のアシル基の長さとその不飽和度で決まる。不飽和度が低いほど炭化水素どうしが密に並ぶので転移温度は高くなる。こうした性質を利用して、原核生物ではアシル基の長さと二重結合の数を変えることで調節し、真核生物ではコレステロールをうまく差し込むことで結晶化を制御して調節する。
・トリグリセリド(トリアシルグリセロール)の分解と合成
トリアシルグリセロールはトリグリセリド、中性脂肪(neutral fat)とも呼ばれ、還元された無水物であるため代謝エネルギーの高密度貯蔵体として働いている。脂肪細胞(fat cell)または細胞質に貯蔵される。
さて、その合成だが、ホスファチジン酸から合成される。ホスファチジン酸(phosphatidate)はホスホグリセリドとトリアシルグリセロールの生合成に共通する中間体である。主にジヒドロキシアセトンリン酸の還元により生じたグリセロール3-リン酸がグリセロールリン酸アシル基転移酵素(glycerol phosphate acyltransferase)の触媒でアシルCoAによって連続して2回アシル化され、ホスファチジン酸となる。ここで反応経路が分岐し、トリアシルグリセロールに行くものは、加水分解されてジアシルグリセロールを経て、ジグリセリドアシル基転移酵素の触媒でアシルCoAのアシル化をうけてそうなる。
一方、ホスホグリセリドはde novo(新規)合成の場合、ホスファチジン酸とCTPからシチジンジホスホジアシルグリセロール(CDP-ジアシルグリセロール)が形成されることで始まる。このCTPはグリコーゲン合成におけるUTP同様の働きをし、活性型中間体を形成しているのである。そしてCDP-ジアシルグリセロールはいくつかのアルコールと反応し、それがホスホリパーゼCにより分解されてホスホグリセリドができる。
また、トリアシルグリセロールの分解はcAMP依存性リパーゼによる加水分解で行われる。アドレナリン、グルカゴン、副腎皮質刺激ホルモンなどのホルモンが脂肪細胞のレセプターに結合することにより、例の経路でcAMPが増加する。するとタンパクキナーゼAが活性化され、リパーゼをリン酸化して活性化する。
そうしてトリアシルグリセロールは脂肪酸とグリセロールに分解され、以下のような順でジヒドロキシアセトンリン酸へとむかい、解糖系に入っていく。
・脂肪酸の合成と分解
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| 分解
| 合成 |
| 変化する炭素鎖数
| C2つ
| C2つ |
| 反応群の局在
| ミトコンドリア
| 細胞質 |
| 酵素群の特徴
| 個別
| 大きな複合体 |
| 用いられる補酵素
| FAD・NAD+
| NADPH |
| 脂肪酸の担体
| CoA
| アシル基運搬タンパク (ACP;acyl carrier protein) |
| 伸長/短縮の起きる方向
| R-CH2CO-CoAのRからC2がとれる(カルボキシル基からメチル基へ)
| RCO-ACPのCOとACPとの間にC2が入る(メチル基からカルボキシル基へ) |
| 反応基質/産物
| 脂肪酸が基質としてアセチルCoAが生成
| マロニル-ACPによりアセチルCoAの炭素が供給され、パルミチン酸が生成(これ以外は別の酵素系でこれを改造して作られる) |
改めて表を少し改造して書いてみた。
以下に各項目について詳述していく。
脂肪酸が分解される際、まず活性化されてアシルCoAになる。この反応はかなり自由な可逆反応だが、アシルCoAと一緒にできるピロリン酸が不可逆的に加水分解されることで、実質上アシルCoAを生成するほうに向かう。この「不可逆化」の手法はおなじみのパターンであり、他にもグリコーゲン合成でUDP-グルコースが生成される反応もこのパターンを用いる。
そして、アシルCoAはミトコンドリアのマトリクスに運ばれるが、なにぶん分子がデカイため内膜の通過が容易ではない。それをクリアーするのがカルニチンである。アシルCoAのアシル基は、ミトコンドリア外膜上のカルニチンアシル基転移酵素T(carnitine acyltransferase)によりカルニチンに移されアシルカルニチンとなる。この状態でトランスロカーゼの働きでマトリクスに運ばれ、そこで再びアシル基がCoAと結合して、代わりにカルニチンは外へ出て行く。
マトリクスで分解されるアシルCoAだが、その過程はFADによる酸化、水の付加、NAD+による酸化、そしてCoAによるチオール分解という4つの反応の繰り返しである。これらの結果、脂肪鎖のアシル基は炭素原子2個分ずつ短くなり、FADH2やNADH、アセチルCoAが生成する。この経路をβ酸化経路とよぶ。ちなみにこの過程で最初の反応を触媒する、アシルCoA脱水素酵素は炭素鎖の長さによって長鎖、中鎖、短鎖用がある。
さて、この反応一回分の式は
Cn-アシルCoA + FAD + NAD+ + H2O + CoA
→ Cn-2-アシルCoA + FADH2 + NADH + アセチルCoA + H+
となり、これを利用すれば脂肪酸の酸化でできるエネルギーは計算できる。最終的にはアセチルCoA2分子が生じて終わる。呼吸鎖によりNADH1分子からは2.5分子の、FADH21分子からは1.5分子のATPができる。また、クエン酸回路により、アセチルCoA1分子からは9分子のATPと1分子のGTPが生じる。こうしたことにより、具体的な量が計算できる。
ちなみに、不飽和脂肪酸の場合、2重結合をずらす酵素と2重結合を還元して解消する酵素の2種類の酵素が加わり、基本的に全く同じ手法で分解される。また、奇数個の炭素鎖を持つ脂肪酸は最後がアセチルCoA2分子ではなく、アセチルCoAとプロピオニルCoAが生成する。プロピオニルCoAはスクシニルCoAに転換されてからTCAサイクルに入る。
こうした分解産物のアセチルCoAであるが、これがTCAサイクルに入るのは脂質と糖質の分解が適切なバランスのもとにあるときのみである。飢餓状態や糖尿病ではオキサロ酢酸が糖新生に使われてしまい、足りない。「脂質は糖質の燃える炎の中で燃える」という格言はこのあたりのことを指す。そんなときはアセト酢酸やD-3-ヒドロキシ酪酸、さらにはアセトンといったケトン体(ketone body)が生じる。未治療の糖尿病患者ではこのケトン体が異常に多い。ちなみにこのケトン体、心筋や腎皮質などで主に利用される。飢餓状態の脳でもこれが利用される。
さて、以上に分解の経路を述べた。これからは合成の経路を述べる。
脂肪酸合成は、アセチルCoAカルボキシラーゼの触媒で、アセチルCoAがカルボキシル化してマロニルCoAになることから始まる。
この酵素はビオチンの補欠分子族を持っている。ビオチンはピルビン酸カルボキシラーゼにも含まれていて、これらはピンポン反応機構とよばれる2段階の反応をする。
ビオチン-酵素 + ATP + HCO3-
⇔ CO2〜ビオチン-酵素 + ADP + Pi
CO2〜ビオチン-酵素 + アセチルCoA
→ マロニルCoA + ビオチン-酵素
アセチルCoAとマロニルCoA、NADPHからの長鎖脂肪酸の合成を触媒する酵素系は、脂肪酸合成酵素とよばれる。高等生物ではこれは同一の260kDサブユニットからなる二量体の多酵素複合体をなしている。各鎖は3つのドメインに折りたたまれ、単一ポリペプチドに7種類の触媒部位が共存している。このような多機能酵素は基質の受け渡しが効率よく行われ、また、酵素自体も安定である。これは進化の過程でエキソンがまぜこぜになって現れたと見られる。
さて、脂肪酸合成でできる中間体はアシル基運搬タンパク(ACP)に結合する。脂肪酸合成の伸長期は、アセチル-ACPとマロニル-ACPの生成で始まる。それぞれアセチルトランスアシラーゼ、マロニルトランスアシラーゼが触媒する。
アセチルCoA + ACP ⇔ アセチル-ACP + CoA
マロニルCoA + ACP ⇔ マロニル-ACP + CoA
注:奇数個の炭素原子を持つ脂肪酸の合成はアセチルトランスアシラーゼの触媒によりプロピオニル-ACPで始まる。
そしてアセチル-ACPとマロニル-ACPは反応して、アシル-マロニル-ACP縮合酵素の触媒でアセトアセチル-ACPを生成する。
アセチル-ACP + マロニル-ACP
→ アセトアセチル-ACP + ACP + CO2
ここで、2炭素構造1つと3炭素構造1つから炭素4個の構造1つが生じ、CO2が放出される。一見効率が悪いが、マロニル-ACPのエネルギー的な有利さから、この方が反応しやすいのである。ここで、マロニルCoA生成の時に付加されたHCO3-がCO2となって出て行っていることに注目すると、炭素を偶数個もつ脂肪酸の炭素原子は全てアセチルCoAに由来していることがわかる。
そのようにして1順目が始まり、その経路は右図のようである。2順目はブチリル-ACPがマロニル-ACPと縮合してC6-β-ケトアシル-ACPが生成する。そして、1順目と同じように還元、脱水、そしてまた還元が繰り返され、C16-アシル-ACPができるまで続く。この中間体は縮合酵素の基質とはならず、加水分解されてパルミチン酸となる。
ここで少し注目したいのがNADPHである。β酸化ではNAD+が酸化剤として使用されるのに対し、この反応ではNADPH還元剤として使用されるのだが、これは「NADPHは生合成反応で使用され、NADHはエネルギー発生反応で生成する」という一般原則を端的に表している。
1. Fill in the blanks.
The major site of amino acid degradation in mammals is ( 1 肝臓 ). Aminotransferases catalyze the transfer oh an α-amino group from an α-amino acid to ( 2 α-ケト酸 ). Aspartate Aminotransferase, one of the most important of these enzymes, catalyzes the transfer of the amino group of aspartate to ( 3 α-ケトグルタル酸 ). ( 4 ピリドキサールリン酸 ) acts as its coenzyme, α-amino groups are converted into ( 5 アンモニウムイオン(アンモニア) ) by oxidative deamination of glutamate.
Nearly all cleavages of aromatic rings in biological systems are catalyzed by dioxygenase, a class of enzymes discovered by Osamu Hayaishi. p-hydroxyphenylpyruvatehydroxylase and homogentisate oxidase in the degradation of aromatic amino acids are ( 6 分子内2原子酸素添加酵素 ) because both atoms of O2 appear in the same product.
Phenylketonuria is caused by an absence of deficiency of ( 7 フェニルアラニン水酸化酵素(ヒドロキシラーゼ) ), or, more rarely, of its tetrahydrobiopterin cofactor. Phenylalanine accumulates in all body fluids because it cannot be converted into ( 8 チロシン ). Almost all untreated phenylketonurics are severely mentally retarded. Phenylketonurics appear normal at birth but are severely defective by age one if untreated. The therapy for phenylketonuria is ( 9 低フェニルアラニン食 ). The incidence of phenylketonuria is about 1 in 20,000 newborns. The disease is inherited as ( 10 常染色体劣性 ), as was proposed by Foling.
(Phenylketonuria:フェニルケトン尿症)
2. Read the following description an answer questions.
Succinyl CoA is the point of entry for some of the carbon atoms of methionine, isoleucine, and valine. Propionyl CoA and then methylmalonyl CoA are intermediates in the breakdown of these nonpolar amino acids. Succinyl CoA is formed from L-methylmalonyl CoA by an intramolecular rearrangement. This very unusual isomerization is catalyzed by methilmalonyl CoA mutase.
T) What does methylmalonyl CoA mutase contain as its coenzyme?
補酵素B12
U) Name a disease caused by a deficiency of intrinsic factor, which leads to impared absorption of the precursor of the coenzyme.
悪性貧血
3. Are following description correct? If there are some errors, indicate and correct them.
T) S-adenosylmethionine can carry a methyl group on its N5 atom, but its transfer potential is not sufficiently high for most biosynthetic methylations.
Rather, the activated methyl donor is usually tetrahydrofolate. (folate:葉酸)
S-adenosylmethionineとtetrahydrofolateとを交換。
U) Amino acids are precursors of many biomolecules such as adenine, cytosine, androgens and histamine.
androgensが誤り。スフィンゴシン、アドレナリン、ドーパミン、チロキシン、NAD、セロトニンなど。
V) Gluthathione, a tripeptide containing a hydroxyl group, plays a key role in detoxification by reacting with hydrogen peroxide and organic peroxides, the harmful byproducts of aerobic life. (hydroxyl group:水酸基)
hydroxylが誤り。SH基(スルフィドリル基)が正しい。
W) Nitric oxide (NO), a short-lived signal molecule, is formed from arginine in a complex reaction that is catalized by nitric oxide synthase.
正しい。
・α−アミノ基の除去
アミノ酸は脂肪酸やグルコースのように過剰となっても貯蔵されず、また排出も起こらない。余分なアミノ酸は代謝の燃料となって使われる。余談だが、だからアミノバイタルが効くわけである。んで、哺乳類でのアミノ酸分解の主要部位は、肝臓である。
各種α-アミノ酸のα-アミノ基はアミノ基転移酵素(aminotransferase)によってα-ケト酸へ移される。この酵素はトランスアミナーゼ(transaminase)とも呼ばれ、様々なアミノ酸由来のα-アミノ基をα-ケトグルタル酸に集めて、NH4+への転換に向かわせる。例えばこの酵素の中でも特に重要なものの一つであるアスパラギン酸アミノ基転移酵素は下記のような反応を触媒する。
ただし、セリンとスレオニンはいきなり脱水酵素の働きを受けて、直接NH4+を放出する。ちなみにこの2つの脱水酵素は共にPLPを補欠分子として持つ。(後述)
セリン → ピルビン酸 + NH4+
スレオニン → α-ケト酪酸 + NH4+
また、アラニンアミノ基転移酵素も哺乳類組織に広く存在し、アラニンのアミノ基をα-ケトグルタル酸へ移す反応を触媒する。
アラニン + α-ケトグルタル酸 ⇔ ピルビン酸 + グルタミン酸
このようにしてα-ケトグルタル酸からできたグルタミン酸は、グルタミン酸脱水素酵素(glutamate dehydrogenase)の触媒により酸化的脱アミノ化を受け、NH4+を生成する。この反応はNAD+でもNADP+でも利用できる点が変態的である。
グルタミン酸脱水素酵素はGTPとATPによりアロステリック阻害を受け、GDPとADPによりアロステリック活性化を受ける。つまり、エネルギー荷の高いときはアミノ酸酸化が抑制され、低いときは促進される。
以上の反応をまとめると
α-アミノ酸 + NAD+(またはNADP+) + H2O
⇔ α-ケト酸 + NH4+ + NADH(またはNADPH) + H+
となる。その後、大部分の陸生脊椎動物ではNH4+は肝臓の尿素回路で尿素に変換されてから排出される。
さて、あらゆるアミノ基転移酵素の補欠分子族として、ピリドキサールリン酸(pyridoxal phosphate;PLP)が働く。PLPはピリドキシン(pyridoxine)別名ビタミンB6に由来する。PLPはシッフ塩基(schiff base)という塩基結合を、基質があるときは基質と、無いときは酵素の活性中心と形成することで反応を速やかに進めている。
・残った炭素骨格の行方
アミノ酸分解の戦略は、グルコースに変換できたりTCAサイクルで酸化されたりする主要な代謝中間体を生成することにある。それぞれのアミノ酸の行き先は下図のとおりである。そのうち、分解してケトン体を生じるものをケト原性(ketogenic)といい、その他TCAサイクル中間体を生じるものを糖原性(glucogenic)という。ただし、この分類法は量的な問題を含み、主観が入るため多少ええかげんなもんでもある。
さて、それぞれのアミノ酸を炭素の数で分類すると、C3ファミリー、C4ファミリー、C5ファミリーといった分類ができる。(ただ、この数字は実際構造式を見るとどこからどこまでの炭素を数えているかよう分からんので、気にしないでいいと思う)
C3ファミリー(アラニン、セリン、システイン)はピルビン酸に入る。既に書いたように、アラニンは脱アミノ化の過程で、セリンはセリン脱水素酵素による脱アミノ化で、ピルビン酸を生じる。そしてシステインはいくつかの経路を経てピルビン酸を生じ、その硫黄原子はH2Sなどの形であらわれる。その他、他に3種のアミノ酸もピルビン酸に変換される。グリシンはセリンに変換されてピルビン酸に入るか、別の炭素1個の活性化物になる。トレオニンはアミノアセトンを経由してピルビン酸になる。トリプトファンの炭素原子3個はアラニンとなり、これがピルビン酸になる。
C4ファミリー(アスパラギン酸、アスパラギン)はオキサロ酢酸になる。アスパラギン酸はアミノ基が移動してオキサロ酢酸になる。その式は前述の通りである。アスパラギンはアスパラギナーゼによって加水分解され、NH4+とアスパラギン酸に変わる。アスパラギン酸には尿素回路によってフマル酸に分解される経路もある。
C5ファミリーのうちグルタミン、プロリン、アルギニン、ヒスチジンの炭素骨格はα-ケトグルタル酸となってクエン酸経路に入る。これらはまず、それぞれのややこしい経路によってグルタミン酸に変換されて、これがグルタミン酸脱水素酵素によって酸化的に脱アミノ化されてα-ケトグルタル酸ができる。
また、スクシニルCoAがメチオニン、イソロイシン、バリンの炭素原子の一部の入り口となる。これら3種のアミノ酸からプロピオニルCoAが合成され、そこからメチルマロニルCoAをへてスクシニルCoAができる。この経路は、奇数個の炭素原子を持つ脂肪酸の酸化にも関与している。また、この経路の中で、プロピオニルCoAからできたメチルマロニルCoAのD体はラセミ化されてL型異性体になってからスクシニルCoAに変わる。スクシニルCoAは分子内の配置換え(intramolecular rearrangement)によってL−メチルマロニルCoAからできる。この異性化は非常に珍しく、これを触媒するメチルマロニルCoAムターゼは、補酵素としてビタミンB12(コバラミン)を含む。後述するが、これが不足すると悪性貧血になる。
さて、アミノ酸20種のうちロイシンとリシンだけがケト原性アミノ酸である。ロイシンは酸化的脱炭酸でイソバレリルCoAになる。この過程で働く酵素の分子鎖α-ケト脱水素酵素複合体はピルビン酸からアセチルCoAへの、あるいはα-ケトグルタル酸からスクシニルCoAへの反応を触媒する酵素の相同体である。
イソバレリルCoAは脂肪酸酸化同様FADに水素を渡し、脱水素されてβ-メチルクロトニルCoAになる。そしてそのカルボキシル化によってβ-メチルグルタコニルCoAができる。β-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼによるカルボキシル化機構はピルビン酸カルボキシラーゼやアセチルCoAカルボキシラーゼとよく似ている。そして、そのあと何過程か経て、最終的にアセチルCoAとアセト酢酸になる。これは脂肪酸からのケトン体生成と合同である。
結局、この過程には7つの補酵素が関与している。アミノ基転移にはPLP、酸化的脱炭酸にはTPP・リポ酸・FAD・NAD+が関与する。FADはここでも脱水素に関与し、カルボキシル化にはビオチンが関与する。補酵素Aはこれらの反応でアシル基の担体となる。
バリンとイソロイシンもこれと似た経路をたどり、分枝鎖脱水素酵素によりα-ケト体になる。
ちなみに、これも後述するが、分枝鎖脱水素酵素が欠損するとメープルシロップ尿症になる。
フェニルアラニンとチロシンの分解は、ベンゼン環の分解を行うという点で特徴的である。まず、フェニルアラニンはフェニルアラニン水酸化酵素(phenylalanine hydroxylase)により、チロシンになる。この酵素はO2のうち酸素原子1個は産物、もう1個はH2Oに現れることから、1原子酸素添加酵素(monooxygenase)または混合機能酸化酵素(mixed-function oxidase)と呼ばれる。この酵素に異常があると、フェニルケトン尿症になる。(後述)
この反応で還元剤として働くのはテトラヒドロビオプテリンであり、これがキノン型ジヒドロビオプテリンに変わることで反応が進む。キノン型ジヒドロビオプテリンはNADHを利用して還元されてテトラヒドロビオプテリンに戻るので、この反応ではトータルとしてNADHからHを供与されてフェニルアラニンからチロシンへと還元されていることになる。
その後、右図のように脱アミノ化し、そしてO2との反応を起こす。このホモゲンチジン酸(変換したら「ホモ現地人さん」となった。余談。いらんか。すまぬ。)を合成するp-ヒドロキシフェニルピルビン酸水酸化酵素(p-hydroxyphenylpyruvate hydroxylase)はO2の原子2個が産物に組み込まれる(1個は環に、1個はカルボキシル基に)ので、2原子酸素添加酵素(dioxygenase)という。その後、もう一回2原子酸素添加酵素の働きでO2が付加されて環が開き、右のようにしてフマル酸とアセト酢酸になる。2原子酸素添加酵素はプロリンのヒドロキシル化のところ(SBO'sのビタミンCの項参照)でも出てきた。
ただ、プロリン水酸化酵素などは分子間2原子酸素添加酵素であり、2つの別な産物それぞれに酸素原子1個ずつが組み込まれるのを触媒する。これに対し、上述のp-ヒドロキシフェニルピルビン酸水酸化酵素や、ホモゲンチジン酸酸化酵素は同一の産物に2つの原子が両方とも入るため、分子内2原子酸素添加酵素と呼ばれる。生体内におけるベンゼン環の開裂は、ほとんど2原子酸素添加酵素によって行われる。
この酵素は本庶先生の師匠(?)の早石修によって発見されたため、本庶研連中どもがテストに出題してくるかも知れぬ。注意。
・アミノ酸代謝に関する遺伝的欠損症
悪性貧血
コバラミンは、補酵素B12の主要な材料となり、その内部にコバルト原子を含んでいる。これは生体分子で唯一知られる炭素-金属結合(carbon-metal bond)を持っている点で際立っている。植物も動物もこのコバラミンを生合成することができず、微生物、特に嫌気性細菌でのみ作られる。哺乳類は内因子(intrinsic factor;IF)を胃から放出して、特殊な方法でコバラミンを吸収している。この内因子の遺伝子が欠損するとコバラミンがほとんど吸収できず、悪性貧血になる。悪性貧血は大量のレバーを食べれば内因子が無くてもコバラミンが吸収される(肝臓にはコバラミンが貯蔵されている)ため、治療できる。
メチルマロン酸尿症
メチルマロニルCoAムターゼが働かないとおこる。メチルマロニルCoAが増えて、動脈血のpHが酸性に傾くアシドーシスの症状をきたす。この疾患を持つ患者の尿には大量のメチルマロン酸が現れる。
この患者の約半数はコバラミンを大量に筋肉注射することで症状が劇的に改善される。これはコバラミンから補酵素B12を合成する経路に異常がある場合である。残りの半数はそれでは改善せず、実はコバラミン関係ではなくメチルマロニルCoAムターゼのアポ酵素に欠損がある。
cf.アポ酵素とは補酵素に結合する酵素のこと。まあ、いってみりゃ酵素の本体側のこと。アポ酵素と補酵素が合体してホロ酵素になり、働くようになる。
メープルシロップ尿症
分枝鎖脱水素酵素が欠損しているために、バリン・ロイシン・イソロイシン由来のα-ケト酸の酸化的脱炭酸が阻害される。その結果、これらα-ケト酸とその元となる分枝鎖アミノ酸の量が尿中でも著しく増大する。その結果、患者の尿からメープルシロップのような匂いがするため、この名がついた。
この病気は幼少時にバリン・ロイシン・イソロイシンの少ない食事療法を受けなければ、通常、精神発達および肉体発達に遅滞があらわれる。
アルカプトン尿症
ホモゲンチジン酸酸化酵素の欠損で起こる遺伝性の代謝疾患。ホモゲンチジン酸が蓄積されて尿中に排出する。その尿はホモゲンチジン酸が酸化重合してメラニン様物質になるため黒っぽく見える。先天性のものはメンデル性劣性遺伝。ちなみにアルカプトン=ホモゲンチジン酸と考えてよさそう。
フェニルケトン尿症
フェニルアラニン水酸化酵素の欠失または欠損、あるいはまれにこの酵素の補因子テトラヒドロビオプテリンの欠失または欠損でおこる。精神遅滞をともない、尿中にフェニルピルビン酸が排出する。
フェニルアラニンがチロシンに変換されずあらゆる体液中に蓄積する。そのため、正常の人ではマイナーなフェニルケトンへの代謝が活性化し、排出される。それでも血中のフェニルアラニン量は正常の20倍ともいわれる。
治療はフェニルアラニンを低減した食事療法である。これを1歳までに行わないと重度の障害を負う。新生児2万人に1人の割合で生じる。
参考:以下に代謝異常の関連図をフェニルアラニンを軸に書いておいた。まあ、見てくれ。